道路特定財源関連法案をめぐって政治の混乱が続いている。
２９日和歌山市では、国会議員、知事、各自治体の首長が道路特定財源関連法案の再可決を求める紀伊半島一周行進を行い、行進終了後行われた全体集会では、仁坂吉伸知事らが「道路が造られなければ、地方は切り捨てられる」「地方を大事にすると言いながら、道路が造られなかったら、我々は取り残されて地方は見捨てられる。財源を保証するためにも、再可決をしていただきたい」と訴えました。知事や市町村長がこうした行進、集会を開くこと自体が、歴史上まれなケースで、それほど政治の異常事態が起こっているということでしょうか。
ガソリンが下がるのはもちろんうれしい話で、国交省など役人のムダ遣いや天下りがあってはならない話ですが、地方自治体の財政に大きく関わる道路特定財源が宙に浮いているこの状態は異常事態です。
県や各自治体が道路をはじめ工事の発注ができず、民間の業者も仕事のメドが立たない事態に陥っているのです。
特に高速道路の建設が遅れている和歌山県では、この道路特定財源関連法案の成立で「やっと紀伊半島一周高速道路が１０年以内にメドが立つ」と期待されていただけに深刻です。
全市町村長が参加して２５日から、紀伊半島一周行進を進め、最終日の２９日は８００人が行進、県民文化会館前で１５００人が全体集会を開いてまで法案の再可決を訴えるのには、そんな事情，背景があるからです。
和歌山に来て実感するのは、高速道路網の不足です。和歌山から、同じ県内の新宮まで３時間以上かかるというのはやはり異常です。ビジネスチャンスという点からもそうですが、近く起こることが予想される南海・東南海地震など防災上からも、この道路事情では被害が拡大するでしょうし、日常の生活でも山村などで病人搬送の必要が生じた時、救急車では時間がかかり過ぎ助かる命も助からないということが現実の問題としてあるのです。
まさに道路は命に関わる問題、ライフラインなのです。
何から何まで東京に一極集中、グローバリズムの時代だから強いものが勝つ、富の偏在、集中は当たり前だ、と言うのであれば、政治はいりません。
食料の自給率の問題でもそうですが、グローバリズム、国際競争力を大義名分にして、主食のお米を作る農家の人たちをないがしろにすれば、それは亡国の道です。
道路も同じで、和歌山県にとっては、「無駄な道路はいらない」「土建国家に逆戻りか」など全国紙が議論する以前の段階、「道路は命、生活に関わるライフライン。絶対に必要だ」と私は考えています。
東京ばかりが富、人、モノ、カネが集中し、地方都市はどこも働き場所がなく、山が荒れ、商店街ではどこもシャッターが下りたままでは情けない話です。
与野党伯仲の国会が、日銀の総裁人事のように政争の場になり「開店休業」状態になるのであれば、国民の間に政治不信ばかりが広がり、霞ヶ関の机の上で地方の事情がわからないまま政策を立案するお役人の天下になるのではないでしょうか。与野党知恵を結集した建設的な議論が、政治力の回復が望まれます。
□和歌山放送ニュース再録
◎道路特定財源関連法案再可決を求める全体集会
道路特定財源関連法案の再可決を求める紀伊半島一周行進が、けさ（２９日）和歌山市で最終日を迎え、行進終了後行われた全体集会で、仁坂吉伸知事は「道路が造られなければ、地方は切り捨てられる」と述べ、衆議院での関連法案再可決を改めて求めました。
紀伊半島一周行進は、高野町と北山村をそれぞれスタートする
２つのルートで今月２５日から行われ、最終日のきょう（２９
日）は、午前９時に和歌山市役所前をスタートし、県民文化会館前までのコースで、およそ８００人が参加して行われました。
行進終了後、県民文化会館前広場で全体集会が開かれ、仁坂知
事は挨拶で「地方を大事にすると言いながら、道路が造られなかったら、我々は取り残されて地方は見捨てられる。財源を保証するためにも、再可決をしていただきたい」と訴えました。
続いて実行委員会会長の真砂充俊（まなご・みつとし）田辺市
長が「道路を造るのが目的ではなく、道路を手段として町作りをしようとしている。和歌山から責任ある民意をＰＲしたい」と述べました。
そして仁坂知事など主催者の代表が、半島一周行進で使われた
タスキを、来賓として出席した県選出の国会議員らに手渡し、参加１５００人が「ガンバロー」コールをして気勢を上げました。
（2008年04月29日11:50 報道部）
