2008年11月10日

京都賞授賞式

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(国立京都国際会館大会議場で開かれた第24回京都賞授賞式)


 財団法人稲盛財団(理事長・稲盛和夫京セラ名誉会長)が主催する第24回京都賞の授賞式が10日、京都市の国立京都国際会館で開かれ、参列してきました。
 この賞は、稲盛さんの「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間としての最高の行為である」という人生観、理念から生まれたもので、「科学技術の一層の発展だけでなく、その問題点を制御して人間社会に幸福をもたらす高い精神性が必要」というのが大きな特徴です。
 今回で24回目を数え、ノーベル賞に匹敵する賞として定着してきましたが、科学技術と同時に精神的深化をも同時に求めるこの賞の存在は、世界的なモラルハザードを考えるとき、ますます重みを増しているような気がします。

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(授賞式では、大友直人指揮京都市交響楽団の祝典序曲、終曲の演奏、観世流・片山清司氏による奉祝能「三輪」のほか、聖母学院小学校合唱団による受賞賛歌も)
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(晩餐会であいさつする稲盛和夫理事長)

 今回の受賞者は、先端技術部門から、計算複雑さの理論の発展への根幹的貢献をしたコンピュータ科学者のリチャード・マニング・カープ博士(アメリカ、カリフォルニア大学バークレー校)▽基礎科学部門から、シグナル伝達機構におけるアダプター概念の提唱と実証をした分子生物学者のアンソニー・ジェームス・ポーソン博士(カナダ・イギリス、マウントサイナイ病院)▽思想・芸術部門から、多様な文化の共存を目指す社会哲学の構築をした哲学者のチャールズ・マーグレイヴ・テイラー博士(カナダ、マギル大学名誉教授)の3人。受賞者には、京都賞メダルとディプロマ(賞状)、副賞となる賞金5,000万円が贈呈されました。
 授賞式には、同財団名誉総裁の高円宮妃久子殿下のご臨席のもと、デイビット・ウォレン駐日英国大使をはじめカナダ、アメリカなど各国の大使、総領事、政官財界や学会などから約1,350人が出席しました。
 さらに夕方には、グランドプリンスホテル京都に会場を移し、晩餐会も催されました。
 その席で稲盛理事長は「20世紀、科学技術は素晴らしい発展を遂げ、その結果、人類は豊かな生活を手に入れました。しかしその一方で我々は豊かな自然を破壊し、それが21世紀の現在、地球環境問題となって、人類の存続を脅かしかねない事態をも引き起こしつつある」と警告を発し、「こうした問題を解決するためには、我々人類は科学技術の発展のみに頼るのではなく、自らのエゴや欲望をコントロールし、他者を利する「利他の心」を根底においた高い倫理観を持って行動していかねばなりません」「そのような倫理観を併せ持った知性こそが、世界を安定へと導き、ひいては未来における地球や人類の存続を約束するものではないでしょうか」と改めて精神性、こころの重要性を訴えました。まさに至言です。

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(古都の授賞式ならでは、祇園芸妓による手打ちの儀「七福神」)

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(先斗町芸妓による日本舞踊「京春秋」)
posted by wbs at 21:34| Comment(0) | あちこちの話
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