2008年11月18日

元禄御畳奉行の日記

sL@.jpgsL@.jpg 

 秋田書店出版のコミック文庫「元禄御畳奉行の日記」上下を一気に読みました。いずれも今年8月出版されたもので、横山光輝さん著で原作は和歌山在住の作家の神坂次郎さん。武芸もお役目もそっちのけで酒と艶の浮世三昧の元禄武士の実像が活写されており、のめりこんでしまいます。


s.jpg


 このコミック本は、神坂次郎さんの名著「元禄御畳奉行の日記―尾張藩士の見た浮世 」(中公新書)が原作。
 元禄の尾張徳川家六十一万九千五百石の家中で、朝日文左衛門重章(しげあき)という御畳奉行(おたたみぶぎょう)が、書き残した日記『鸚鵡籠中記(おうむろうちゆうき)』を、神坂さんが読み解き、元禄時代の生活を現代に蘇らせたもの。
 神坂さんは「日ごろ自分のまわりに流れてくる風説(うわさ)、見聞をそのまま、ありのままに写して鸚鵡返しに書き記したという意味なのであろうか」と書いておられます。
 朝日文左衛門は、「酒におぼれ女を愛し博奕を好み、芝居と聞いただけで目のいろを変える。そしてその芝居見物に夢中になっていて脇差の刀身をすり盗られ、鞘だけを差したまま帰ってくるという、いささか頼りなげな侍」といい、そのメモ魔ぐらいに日記を克明につけることで数百年の時を経て、現代にも通じる元禄武士の小役人ぶりや、浮気、不倫、心中など庶民の生活や事件がよみがえったものです。
posted by wbs at 16:23| Comment(0) | ディスカバーワカヤマ
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。