2009年09月19日

演劇集団和歌山公演ぬけがら

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(写真は演劇集団和歌山のホームページから)
 
 19日夜、和歌山県民文化会館小ホールで開かれた演劇集団和歌山の公演を初めて観させてもらいました。「ぬけがら」(作 佃典彦 演出 山入桂吾)で、佃典彦の岸田國士戯曲賞受賞、文学座アトリエ公演の書き下ろし作品だそうですが、認知症の父親が、セミのように脱皮して次々と若返っていくという幻想の演劇の世界にすっかり魅せられて感動の2時間半でした。 DSC06451.jpg 

 妻に離婚を迫られている40歳代の男が主人公。母親が亡くなり、まだ葬儀を済ましたばかりで祭壇があるこの不幸な男の部屋が舞台。認知症で自分の妻が亡くなったことも分からない82歳の父親が、60、50、40、20歳・・・と、ぬけがらを脱ぎおとしながら若返り、息子と語り合い、息子夫婦の仲を取り持とうとする不思議な世界が展開されていきます。
 終戦直後の壮健な父親、母との偶然の出会いと結婚、それに息子の誕生・・・と、今の息子とそれぞれの時代の父親が語り合う場面に、なくなった両親ともう一度こうして話してみたいものだ、という想いを抱きながら、ついのめりこんでしまうストーリーです。
 この公演にはもう一つの楽しみが。和歌山放送の午後の小林睦郎さんの番組などでパーソナリティーをしている池尾唯さんが出演しているからです。葬儀屋の女を見事に演じていましたが、ベッドインの大胆な演技にハラハラどきどきさせられました。
 主人公の不幸な男役を演じた水口広平さん、看板女優の城向博子さんらの熱演も見事でした。
 もったいないな、という点をあえて言わしていただくと、エンディングがあっけなかった、というか、観客は熱演に拍手を贈りたいのに舞台からさっと早く消え過ぎでした。
 もう一つは、終戦から現代まで6人の父親が登場するのですから、その時代の音楽を効果的に使ったら、もっと感動と共感を呼ぶ、と私には思えたのですが・・・。
posted by wbs at 22:28| Comment(0) | 和歌山の文化イベント
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