2010年11月20日

第85回情報懇談会 夢のコラボ実現

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和歌山放送の第85回情報懇談会が18日午後、和歌山市のホテルグランヴィア和歌山で開かれました。
 今回は、「心の時代・紀伊山地の霊場と参詣道」をテーマに講師は、総本山金剛峯寺第四百十二世座主の松長有慶さん、宗教学者の山折哲雄さん、と日本の仏教界、宗教界のトップによる夢のコラボが実現しました。

また、このお二人のコーディネーター役はこのひとしかいない、と和歌山県立医科大学学長で脳外科医の板倉徹さんにお願いしました。心の世界を脳外科医の視点から板倉先生が質問するという名司会、コーディネーター役をしてくださり、日本古来の宗教観や文化や精神世界について示唆に富んだ講演に加えて3人の議論が展開され素晴らしい懇談会となりました。
 講師の先生方、また終了後熱心な質疑で一層内容濃いものにしてくれた会員、参加者の皆さんにもお礼申し上げます。
ありがとうございました


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 松長氏は、紀伊山地の霊場と参詣道という世界遺産は、「スポットではなく吉野、高野、熊野という3つの信仰上の霊場が面で指定されており、世界でも2つしかない貴重な存在。日本人の心の中では、そこで神社、仏閣は共存しており、現実から離れた異界、心の憩いの場、癒しの場となっている」と指摘。「フランスなど特に欧州の人には神秘的な空間として人気があり観光客は増えているが、観光で経済が潤うという視点だけで考えていてはだめで、自然を保護して社寺仏閣という霊場、信仰上の存在という両社を考えていかないと、世界遺産も見直されて取り消されるということもありうることを忘れてはならない」と話されていました。

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 山折氏は、紀伊山地の霊場と参詣道という世界遺産については「世界遺産で2つある宗教上の道の遺産スペインのサンチャゴの道も歩きましたが、平坦な乾燥地帯の短調な道をただひたすら歩いた。これに対して紀伊山地の参詣道は、山あり谷あり森林あり、海があり、鳥や花、風と歩くことで自然と一体化できる。千変万化する多様性が大きな特徴。また日本の霊場には、どこも体のみならず心の垢を落とす熱泉、温泉がある」と世界の霊場を歩いてこられた体験からその特徴を指摘されていました。
 また「心の時代」をテーマにした鼎談では、年間約3万5千人という自殺者が出る日本のストレス社会に触れて、「戦後横並びの平等主義に陥り、親子、、生徒と先生、部下と上司、果ては神仏という垂直軸、たて軸を考えなかったことが大きい。能力も社会的にも決して平等ではないのに、向こう3軒両隣でないということで“比較地獄”に陥り、そこから嫉妬、恨み、ねたみ、敵意が生まれ、果てには殺意にまで至っている。怒りと暴力、殺意が埋め込まれた社会になって、その殺意が自分に向かうと自殺になっているのではないか」と語っておられたのが印象的でした。

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□和歌山放送ニュース再録
◎第85回和歌山放送情報懇談会開催(写真付き)

 和歌山放送の第85回情報懇談会がきょう(18日)午後、和歌山市のホテルグランヴィア和歌山で開かれました。

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 今回は講師に、総本山金剛峯寺第四百十二世座主の松長有慶さん、宗教学者の山折哲雄さん、それに、和歌山県立医科大学学長の板倉徹さんの3人を迎え、「心の時代・紀伊山地の霊場と参詣道」をテーマに日本古来の宗教文化や日本人の精神世界について語り合いました。
 きょう(18日)は、第一部で松長さんと山折さんが基調講演し、そのあと、板倉さんを交えて、世界遺産登録から6周年を迎えた「紀伊山地の霊場と参詣道」の存在意義などについて語り合いました。このなかで松長さんは、「世界遺産の登録によって、観光客が増え、うるおいが生まれているが、観光と自然保護の問題を、角度をかえて考えていかないと世界遺産の見直しの時にマイナスになる。」と警鐘を鳴らしました。
 また、山折さんは、「20年あまり前に、奈良県の五條市からバスで熊野本宮に入り、湯の峰温泉で体を癒した体験を話し、『死と再生の信仰』を持った日本固有の霊場である。」と指摘しました。コーディネータ役もつとめた板倉さんは、「ことばや論理など普段生活で使う左の脳を使いすぎて、安らぎの脳と言われる右脳とのバランスが崩れていることから、心の病が増えていると考えられる。」などと話しました。
2010年11月18日(木) 18:32
posted by wbs at 18:26| Comment(0) | 和歌山放送のこと
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