和歌山市の近鉄和歌山店で開かれている「根来寺根来塗宗家 池ノ上曙山展-曙山と弟子たち」を覗いてきました。ちょうど会場に池ノ上曙山さんやお弟子さんらがおられ、東京でかえって人気があるといわれる黒根来の魅力をご本人の解説付きで鑑賞するぜいたくを味わせて頂きました。
池ノ上さんは、室町時代に隆盛を誇った根来寺発祥の根来塗の制作を、00年に415年ぶりに再興された方ですが、お会いするのは初めてです。現在約60人の後進を指導、約20人が制作に携わっているそうですが、今回は伊藤恵さんや山岡梓さんら5人のお弟子さんとの作品展で100点が展示さています。
なかでも、池ノ上さんの黒根来は、独特な肌触りと味わいがありましたが、驚いたことに池ノ上さんは昨年11月、外出中に脳出血で倒れ、緊急入院。「1カ月間寝たきりで、担当医師からは、はしの上げ下げもできないかもしれない、と言われた」といい、今回はそれをリハビリなどで乗り越えての展覧会です。
使えば使うほど、風合い、味わいを増していく根来塗ですが、今回作品や会場にも漂う独特な味わい、空気は、池ノ上さん自身の奇跡的な回復とそれに伴う独特な境地、感性によるものが大きいのかもしれません。