和歌山放送の長寿番組「わたくしの作文」の年間表彰式が13日、和歌山市民会館で開かれ、文部科学大臣賞や知事賞、和歌山放送賞などに輝いた22人が表彰されました。表彰式の冒頭、一昨日午後発生し、東北地方に甚大な被害が広がっている「東日本大地震(東北地方太平洋沖地震)」の犠牲者への哀悼と一日も早い被災者の救出・復興を願って参加者全員が1分間の黙とうを捧げました。
これは、主催者あいさつの中で私が呼びかけたものです。
国内観測史上最大の大地震に見舞われた東北地方では、予想をはるかに超える大津波で甚大な被害が発生しています。和歌山県でも、地震発生以来、津波、大津波、津波警報が発令され、昨夜午後8時20分に注意報に切り替わるまで厳戒態勢が続き、多くの住民が避難を強いられていました。
今日の晴れの表彰式も、表彰の子どもたちや保護者、学校関係者らが出席ができるのか心配しましたが、注意報解除されたことや、こういう時であるからこそなおさら、子どもさんの夢が詰まった表彰式を行い、明るい話題を提供するのもわれわれの役割りとも思い、予定通り実施させていただきました。
こうした状況下で、仁坂知事が出席いただき「皆さんの作文を読んで感動しました。和歌山県では学力もつけたいが、その基礎となる考える力、言葉の力を重視しています。その力を端的に現すのが作文です」と祝辞まで述べていただき感激しました。本当にありがとうございました。
和歌山放送では、さまざまな事業、イベントをしていますが、私が最も楽しみにしているのがこの表彰式です。
と申しますのも、この表彰式のために作られる「入選作品集」をいつも読ましていただきますが、家族や友人の話、自然や動物との交流の話など、小中学生の夢やみずみずしい感性、それに他人へのやさしさや思いやりが詰まっています。読みながらそのお子さんの顔や家族の様子を想像し、実際に会えるのが楽しみなのです。
この「わたくしの作文」は、和歌山放送が昭和43(1968)年から43年にわたり放送しています。活字離れの傾向に危機感を持った先輩社長が、こうした作文を教育現場で進めることで、教育の基本ともいえる国語教育を振興しようという狙いで始めたものです。月曜日から金曜日までの毎日、2編が早朝とお昼の二回アナウンサーの朗読で放送されています。
今年度は約7000点の作文が寄せられ、このうちレストランの貴重な職場体験を綴った県立桐蔭中学校3年の吉川美樹さんの「5日間のお礼」が文部科学大臣賞に選ばれるなど22人と、毎月欠かさず応募があった学校が表彰されました。
甲子園の高校野球やサッカー、最近ではゴルフなどスポーツの優秀な選手が注目されていますが、文の方でこれから世界で活躍する人材に必用なのは、どんな専門分野でも、重要なのは「言葉」ではないでしょうか。ゴローバル時代で流暢な英語力なども要求されてくるでしょうが、そんな時代でもやはり基本の基は日本語の能力です。
そういう意味では、今日作文で表彰されて子どもさんは、「言葉の甲子園」でもあれば出場できる能力、可能性を感じます。ぜひこの誇りを持って日本のリーダー、特に世界で活躍できる人材へと飛翔して欲しいものです。
最後になりましたが、この事業を教育現場で支えていただいている国語部会の先生方、後援を頂いている和歌山県、県教委などの各団体、番組の提供をしていただいている県農業協同組合連合会、わかやま市民生協に心からお礼申し上げます。
□和歌山放送ニュース再録
◎冒頭に黙とう、「わたくしの作文」年間表彰式
和歌山放送の長寿番組「わたくしの作文」の年間表彰式が、きょう(13日)、和歌山市民会館で開かれ、文部科学大臣賞や知事賞、和歌山放送賞などに輝いた22人が表彰されました。表彰式は、きょう午後1時から、和歌山市の市民会館で開かれ、冒頭、おととい(11日)午後に発生し、未曾有の大災害となった「東北地方太平洋沖地震」の犠牲者に1分間の黙とうを捧げました。
表彰式では、最優秀の文部科学大臣賞を受賞した作品「五日間のお礼」の作者、県立桐蔭中学3年吉川実樹(よしかわ・みき)さんをはじめ、県知事賞や県教育委員会賞、和歌山放送賞などの各賞を受賞した22人が表彰されました。
文部科学大臣賞に輝いた「五日間のお礼」は、レストランでの職場体験について書かれた作文で、表彰式の最後に、ステージで、作者の吉川さんによって朗読され、大きな拍手を受けていました。 「わたくしの作文」は、和歌山放送が国語教育の振興のため、1968年(昭和43年)から、県内の小中学生の作文を放送しているもので、去年1年間に、およそ7千点の作文が寄せられました。各賞を受賞した作文は、4月1日から「わたくしの作文」の番組で、本人の朗読で放送されます
(2011年3月13日 16:31)