


和歌山放送の第87回情報懇談会が26日午後、和歌山市内のホテル、アバローム紀の国で開かれました。今回は「対論 時代を読む 政治から社会問題まで」がテーマで、講師はともに元・毎日新聞記者で「サンデー毎日」編集長を務めた、ジャーナリストの鳥越俊太郎さんと、和歌山放送「もっと、つれわか」金曜日コメンテーターで毎日新聞客員編集委員の八木亜夫さん。
戦災に匹敵する大きな被害をもたらした東日本大震災の直後だけに、菅政権の対応や危機管理、日本人の生活のありようなどお二人の自由な発想・立場からの指摘や提言が注目を集め、会員企業のトップや各界から多くの皆さんが参加、熱心に聞いていただきました。
鳥越さんは、先日原発事故を起こした東京電力・福島第一原子力発電所の正門前まで突撃取材したばかりで、「被災地の光景は、原爆を投下されて焼け野原になった広島、長崎の光景、さらには東京大空襲の光景を見るようだ。日本人はそれを乗り越えてすごいスピードで復興してきました。今回もそうで日本にはこの大災害を乗り越える力が必ずあります」との発言が強く印象に残りました。
さて今回の講師は、タイムリーではありますが、お二人とも私がかって働いておりました毎日新聞社、中でも大阪社会部の尊敬する大先輩。主催者のあいさつもいつも以上に緊張しました。
八木さんは、昭和9年(1934)のお生まれ今年77歳。新聞社の入社では、14年も先輩です。和歌山放送の番組「もっとつれわか」コメンテーターとしてもおなじみですが、社会部どちらかといえば事件記者というより軟派記者。歩く百科事典とも言えそうな豊富な知識、いまでいえばウェキペデイアのような人で、東京社会部デスクやサンデー毎日の編集長も経験されてから大阪に戻られて、学芸部長や論説委員、編集局次長などを歴任されています。
私が社会部の事件記者などをしている時は、八木さんはまだ現役でいらして、スクープなどを書いた際「これ誰が書いたんや」と褒めてくれたらうれしい「確かな目を持った先輩」がいましたが、八木さんはそんな先輩の筆頭格ででした。
鳥越さんは昭和15年生まれ(1940)で71歳。8年先輩で、大阪府警で知能犯の2課を担当しておられるなど事件記者の先輩なのですが、大阪ではすれ違いでした。
テレビのキャスターとして有名ですが、大阪から東京の社会部、さらには外信部でテヘラン特派員など戦場特派員、さらにはサンデー毎日編集長からテレビのコメンテーターに華麗な転身と、記者としてやってみたい夢といいますか、おいしいところをすべて経験されている先輩です。
昨年9月、和歌山放送と毎日新聞社主催で華岡青洲生誕250周年を記念して「がんを知る全国フォーラム」を和歌山で開いた際、講師のお一人としてお招きして初めて直接お会いしたのですが、がんと平然と向き合い、ジャーナリストとしてレポートし、自身の姿をさらしてその予防にも役立てようと奔走されている姿を拝見して改めて敬服しました。
今回も、「メディアが誰も入ろうとしないので、線量計を持って福島第一原発の前まで、イラク取材で一緒だったカメラマンと二人で入った」と言い、「現場に入ると、その放射線量は恐れるほどの量ではないことも初めて分かる。20キロ圏内とコンパスで円を描いて入ってはいけないでなく、科学的な根拠を示して危険度を示して欲しい」と、今でも現場主義を貫いておられる事件記者魂に脱帽です。
また八木さんは、菅首相の悪口を言っていればすむような安易な政治家、評論家、メディアの姿勢にあえて触れ「決してその対応が良いわけではないが、首相をぼろかすに言って攻撃していればいいという現状は危険。日本の優れた技術や知識を結集して困難と立ち向かうべき」と、政治、メディア、評論家の“思考停止状況”を指摘されていました。
□和歌山放送ニュース再録
◎第87回和歌山放送情報懇談会・鳥越俊太郎さんら講師に(写真付き)
和歌山放送の第87回情報懇談会が、きょう(26日)午後、和歌山市内のホテルで開かれました。

今回は、講師にともに元・毎日新聞記者で「サンデー毎日」編集長を務めた、ジャーナリストの鳥越俊太郎(とりごえ・しゅんたろう)さんと、和歌山放送「もっと、つれわか」金曜日コメンテーターで毎日新聞客員編集委員の八木亜夫(やぎ・つぎお)さんを迎え、未曾有の被害をもたらした東日本大震災に対する政治の対応や危機管理などをテーマに、ふたりの対論形式で問題点の指摘や提言を行いました。鳥越さんは、今月(4月)はじめ福島県の被災地に入り、原発事故を起こした東京電力・福島第一原子力発電所の正門前で取材活動を行い、インターネットのブログでその模様を公開しています。きょう(26日)はこうした取材体験を通して見えた原発立地をめぐる問題点などにも触れました。また八木さんは、今回の震災を受けての今後の政局の見通しや、復興と再生への提言などを行いました
(2011年4月26日(火) 19:02)