
熊野本宮大社の九鬼家隆宮司が3日来社、今年2月に発足、自らが会長を務める社殿修復奉賛会の現状報告や来年の「正遷座120年記念大祭」へ向け、熱い想いを語られました。

「今年3月11日の東日本大震災が発生し、多くの人びとの命が奪われました。このような状況下で募金活動はどうかとも思いましたが、被災地の子どもたちが来てくれたり、被災した宮城県の60歳代の男性の方が6月から湯の峰温泉で湯治されながら、毎朝お参りにこられている姿を見て、全国の人々に(本宮大社が)精神の拠り所、癒しの場であることの重要性を再認識させられました」と。
また熊野本宮大社は、もともと熊野川、音無川、岩田川の3川合流点にある「大斎原(おおゆのはら)」と呼ばれる中洲にあったのですが、明治22(1889)8月の水害で流失、現在の高台に移築された歴史に触れて「素早く復興して来年は「正遷座」から120年の記念の年に当たり、記念大祭が行われます。約2000年間、社殿が水害で流されるなどということはなかったのに、明治に入ってからの急激な森林伐採、いわば人災でした。それを今の高台に移して復興したわけで、日本復興のシンボルとしてのメッセージも発信できたら」と話されていたのが心に残りました。
社殿修復は、第三殿、第四殿の屋根葺き替え工事が終了、現在第一殿、第二殿の屋根葺き替え工事にかかっているそうです。屋根の葺き替え工事は、昭和43年以来、また本体部分は120年経過しており、歪みや緩み、腐朽が進み、本体についてもあと二年かけて修復工事を進めるそうです。