2011年09月05日

台風12号の被害拡大

 3日高知県に上陸、岡山県を通過した大型の台風12号は、和歌山県への直撃は回避したものの、温かく湿った空気を伴って時速10キロという速度で進み、和歌山県南部中心に記録的な大雨をもたらしました。各地で土砂災害や河川のはん濫などが発生、死者17人、行方不明28人(5日午前11時現在)など被害が拡大しました。
 被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げると同時に、一刻も早い復旧復興をお祈りいたします。
 和歌山放送でも、報道、制作部員あげて台風報道と取り組んでいますが、台風の影響で4日午前、NTTの回線が寸断され、新宮送信所の電波が止まってしまう事故が発生しました。午後6時過ぎ応急処置で復旧し新宮市やその周辺で和歌山放送が聴ける状態になりましたが、NTT回線の本格的な回復はまだしばらく時間がかかるそうです。
 和歌山放送では、新宮送信所の電波が停止した間、インターネットを含むニュースで、パソコンやスマートフォンで和歌山放送が聴けるラジコ(IPサイマル放送)の利用で、台風情報を聴いていただくよう呼びかけました。



 
 もともと4日の日曜日は、関係各機関が海南市に集合、和歌山県総合防災訓練が予定されていましたが台風のため中止となりました。今回の訓練は、今年3月11日に発生した東日本大震災を受け、これまでの実施方法を大幅に見直して行われる予定で、和歌山放送でも現地に特別放送ブースを設け、特別番組を放送する予定(放送局のスタジオから防災特別番組は放送)していました。
 県や各市町村をはじめ関係機関も訓練のための準備をしていた中での今回の台風被害だけに、防災対策の複雑さと難しさを改めて痛感しました。さらには同じ県内でも和歌山市内と紀南と紀中との天気があまりに違うことに改めて驚くと同時に、紀伊半島の奥深さ、自然の怖さをも実感させられました。

□和歌山放送ニュース再録(台風関係一部のみ)
◎和歌山県内だけで12人死亡、29人不明(24時現在)
(2011年9月5日 00:10)

 和歌山県警察本部によりますと、これまでに和歌山県内だけで12人が死亡、29人が行方不明となっています。 
 田辺市伏菟野(ふどの)では住宅5棟が土砂崩れに巻き込まれ、この家に住む、農業、山本正江(やまもとまさえ)さん69歳が遺体で見つかったほか、女性2人と男子高校生2人の合わせて4人の行方が分からないため、けさ(5日)から捜索を再開させます。
 また、みなべ町清川(きよかわ)では裏山が崩れて倒壊した家から農業、畑佳文(はたよしふみ)さん28歳が遺体で見つかったほか、日高川町川原河(かわはらごう)では避難途中、浸水した車に取り残された藪内省三(やぶうちしょうぞう)さん80歳が死亡しました。那智勝浦町湯川の「ゆかし潟(がた)」湖内では沈んだ車の中から太地町の石田雅信(いしだまさのぶ)さん54歳が遺体で見つかりました。さらに日高川町の日高川では会社の様子を見に行ったまま連絡が取れなかった信濃拓(しなのひらく)さん65歳と同僚の藤原稔(ふじはらみのる)さん53歳がそれぞれ遺体で見つかりました。このほか那智勝浦町と田辺市本宮町を含めあわせて12人が死亡しました。
 さらに新宮市や那智勝浦町などでも住宅が倒壊するなどして行方不明になる人が相次ぎ、那智勝浦町の寺本真一(てらもと・しんいち)町長の妻、昌子さんと娘の早希(さき)さんも川に流されて行方不明になっています。

◎記録的豪雨は湿った空気に地形も影響(写真付き)
(2011年9月4日 20:28)

紀伊半島を中心とした記録的豪雨について気象庁は、台風12号本体の雨雲に加えて、台風に向かって南から断続的に流れ込む湿った空気が原因とみています。さらに紀伊半島では湿った空気が山の南東側斜面にぶつかって雨雲が発達し、地形も大きく作用しました。
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右会津川右岸沿いの道路が崩落した(9月4日午後3時ごろ・田辺市上秋津)

紀伊半島周辺では奈良県上北山村で72時間雨量が1652.5ミリ、古座川町西川で1132ミリを観測するなど奈良・三重・和歌山の3県のあわせて7つの地点で1000_を越える雨を記録しました。上北山村ではわずか3日間で年間総雨量の6割以上が降った計算です。台風は四国上陸後、日本海に抜けて進路は紀伊半島の西側でしたが、台風は反時計回りに渦をつくっているため進行方向の東側で風雨が強まる性質があるということです。台風はここ数日、「小走りから自転車程度の速度」と遅いため同じ地域で長時間雨が降り続いたことが大きな被害につながりました。


◎NTT回線寸断で、和歌山放送新宮送信所停波
(2011年9月4日 11:15)

 台風12号の影響で、NTTの回線が寸断され、現在、和歌山放送の新宮送信所の電波が止まっています。新宮市やその周辺で和歌山放送が聴けなくなっています。現在、復旧作業を急いでいますがラジコで放送を配信していますので、パソコンやスマートフォンとインターネットにつながる環境があれば聴くことができます。

◎台風12号の被害状況(午前0時現在)
(2011年9月4日 00:42)

 きのう(3日)午前、高知県東部に上陸した大型の台風12号は、岡山県南部に再上陸し、1時間に10キロの速さで北に進んでいます。台風は和歌山県から次第に遠ざかってはいますが、引き続き台風に向かって南から温かく湿った空気が流れ込むことから、南部の南東側斜面を中心に引き続き土砂災害や河川のはん濫に警戒するよう呼びかけています。


 雨は、きょう(4日)午後0時までの24時間雨量が、那智勝浦町色川で626ミリに達したほか、古座川町西川で548ミリ、田辺市本宮町で531ミリ、白浜町の日置川で470ミリを記録しています。
 また、降り始めとなる先月30日午後6時からきのう(3日)午後10時までの総雨量は、田辺市本宮町で1087ミリ、那智勝浦町色川で829ミリ、古座川町西川で803ミリと、記録的な大雨となっています。
 風は、南紀白浜空港で、きのう(3日)午前6時半に最大瞬間風速35メートルを観測しました。 熊野川は、新宮市熊野川町日足地区と田辺市本宮町で一部堤防を越えたため、地元の住民に避難勧告が出ています。また県庁河川課によりますと、昨夜(3日)11時頃、田辺市を流れる左会津川(ひだりあいづがわ)が田辺市稲成町で、那智勝浦町を流れる太田川(おおたがわ)が那智勝浦町南大居(みなみおおい)で、いずれも水が堤防を越えました。また県内の7つの市町村で、合わせて40棟が床上浸水、32棟で床下浸水の被害が出ています。

 関西電力によりますと、昨夜(3日)10時現在、田辺市、新宮市などで合わせておよそ6000軒余りが停電しています。

 和歌山地方気象台は、和歌山市や海南市、岩出市などを除く県内25の市町村に土砂災害警戒情報を出しています。

 和歌山県内では、新宮市で1人が行方不明になっているほか、御坊市と有田川町で合わせて2人がケガをしました。きのう(3日)新宮市熊野川町で、水道管の工事中に62歳の男性が誤って川に流され、行方不明になっています。また御坊市と有田川町で、いずれも男性が雨漏りを直そうと天井裏に上った際、転落してケガをしました。

posted by wbs at 11:31| Comment(0) | 和歌山のできごと
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