
第53回民間放送全国大会が2日、大阪市内のグランキューブで開かれ、参加してきました。
十年ぶりの大阪での開催ということもさることながら、今年はマスコミも注目の大会です。
年はじめのライブドアのニッポン放送とフジテレビジョン、また現在進行中の楽天によるTBSの株買収問題と放送界はいま激流の中にあるからです。 日枝久会長(フジテレビジョン会長)のあいさつも「民間放送の経営を根底から揺るがすような激しい資本の波が押し寄せ、我々がこれまで果たしてきた放送の役割とは何なのかが改めて問い直されています」と述べ、厳しさがひしひしと伝わってきます。
ただここ2、3年のインターネット、ブロードバンド技術の飛躍的な進歩と普及で「通信側」からの攻勢ばかりが目立ち劣勢に立たされている「放送界」ですが、ラジオは80年、テレビでも約50年、基幹メディアとしての社会的な責任を果たして貢献してきたという意地とプライドがあります。営々と築いてきた放送文化をお金だけで乗っ取られてはたまらないという危機感にあふれ、そして放送の原点の「公共性」、「国民の知る権利に応える迅速で公正な報道と良質な番組の創造」をもう一度見つめ直そうという大会でもありました。
報道については、JR福知山線の事故取材の際に、被害者に会社が殺到して無神経な取材をする“集中豪雨型取材”(メディアスクラム)問題など本当に国民側に立ったものなのか、特にテレビ番組では視聴率競争の弊害でとても「良質な番組」とは言いがたく、視聴者、聴取者から厳しい批判があるのも現実です。
テレビ、ラジオのデジタル化、携帯への1セグ放送開始、携帯電話の飛躍的な進歩と普及などを背景に「いつでも どこでも だれでも」のユビキタス社会はもうそこまで来ており「通信と放送の融合」は現実の問題です。
2年後、5年後どこまで変り、どんな決着をみているのか、正直誰もわからないという激変の世界ですが、放送界で働くものとして、またAMラジオ局の経営を預かる者として、「公共の電波」という貴重で強力な力(使い方によっては国民を助ける武器ともなり、誤ると人を傷つける凶器にもなる両刃の剣)を国民に代わって使わして貰っているという謙虚さを失わずにおこう、そして放送の役割の原点に立ち返って県民の求める報道と番組づくりに社員一丸となって知恵と汗を絞ろう、という決意を新たにしました。
そんなことは二度と起こらないといいいですね。