
和歌山県立博物館で開催中の「世界遺産登録記念特別展 熊野速玉大社の名宝─新宮の歴史とともに─」を先日拝見しました。熊野三山、熊野信仰の奥深さを改めて思い知らされ、圧倒される半日となりました。文化の秋、時間をたっぷりとって(覚悟して)見られることをお勧めします。この特別展は、「紀伊山地の霊場と参詣道」がユネスコの世界遺産に登録されたのを記念したもので、今年新たに国宝に指定された熊野速玉大社の神像4躯(木造熊野速玉大神坐像、木造夫須美大神坐像、木造家津御子大神坐像、木造国常立命坐像)をはじめて公開するなど数多くの古神宝類、新宮ゆかりの文化財など国宝約700点を一堂に集め、まさに「国宝のオンパレード」、そのボリュームに圧倒されます。
熊野三山の一つの熊野速玉大社は、古くから篤い信仰を集め、平安時代の神像や、時天皇、上皇や権力者らによって奉納された古神宝類など、多数の名宝が伝えられたといいます。同大社のある新宮は、中世には熊野別当家が置かれ、熊野三山を統轄、江戸時代には紀伊徳川家の付家老である水野氏の城下町として発達し、特別展には新宮市に伝わる貴重な文化財も多く展示されています。
入り口近くに展示されている国宝、熊野速玉大社の神像4躯 重要文化財、熊野速玉大社の神像3躯(木造伊邪那美神坐像、木造皇太神坐像、木造伊邪那岐神坐像)だけでも十分満足でそのコーナーから去りがたいのに、国宝の古神宝類の桐蒔絵手箱など豪華で質の高い文化財が「これでもか」と続くのです。これほどの文化財を一堂に集めるのは大変だっただろうと推察します。11月27日までです。お見逃しなく!