
第21回京都賞授賞式(11月10日国立京都国際会館で)

京都賞晩餐会(京都宝ヶ池プリンスホテルで)
第21回京都賞授賞式が10日、京都宝ヶ池の国立京都国際会館であり、私も参列しました 京都賞は、財団法人稲盛財団が85年から創設した国際賞で、科学や文明の発展、また人類の精神的深化・高揚に著しく貢献した人の功績を讃え、毎年、先端技術部門、基礎科学部門、思想・芸術部門の各部門に1賞、計3賞が贈られています。賞状、京都賞メダル(20K)に賞金はナント5000万円です。
同財団(京都市下京区、井村裕夫会長)は、私も尊敬する京セラの創業者の稲盛和夫氏(財団理事長)によって設立され、古都・京都発のこの賞には「科学技術の発展と人類の精神的な深化との調和のとれた未来」への稲盛氏の願いが込められています。
今年の受賞者は、先端技術部門( エレクトロニクス)で、液晶ディスプレイの原型となる平面型表示装置を世界で初めて試作し、現在の平面型表示装置の飛躍的な技術発展に先駆的な貢献をしたアメリカの電子工学技術者、ジョージ・H・ハイルマイヤー氏など3氏。
基礎科学部門( 生物科学)では、地球上の生物圏の実態を統一的に捉えるため、「空間生態学」という新分野を確立し、生態学に新しい展開をもたらしたアメリカの生態学者(プリンストン大教授)、サイモン・アッシャー・レヴィン氏。
思想・芸術部門( 音楽)では、古楽演奏の確立に貢献し、古楽演奏の視点から近現代音楽の作品でも新鮮な解釈を行っているオリジナリティに富む演奏家として オーストリアの音楽家、ニコラウス・アーノンクール氏が選ばれました。
授賞式、晩餐会は、名誉総裁の高円宮妃久子殿下や各国の大使、総領事が臨席する華やかさで、授賞式は、京都市交響楽団の祝典序曲にはじまり、金剛流、金剛永謹さんの奉祝能、聖母学院小学校合唱団の受賞賛歌、また晩餐会では祇園芸妓による手打ちの儀や舞踊まで、厳粛な中に古都の伝統を採り入れた豪華絢爛な式典でした。
晩餐会で挨拶した稲盛氏は「知だけが優先され、情や意が後退していく文明は、やがて衰退の道をたどらざるを得ないはずです」と人間が知、情、意のバランスのとれた存在であることの重要性を強調。「21世紀を迎えた今、我々人類に必要なのは、この高度に発達した科学技術とレベルを同じくして、その利用をコントロールできる精神性をいかに深化できるかにあると考えています」と述べられたことが強く心に残りました。