
10月3日の毎日新聞夕刊社会面に載った「ハルウララ(牝10歳)引退」の記事です。98年11月17日に高知競馬にデビュー以来生涯成績0勝113敗。04年9月から体調不良で休養、もう一度元気な姿で引退レースに出場するものと思っていただけに今回の競走馬登録抹消は残念です。小柄な体で、負け続けても懸命に走る姿で、多くもファンの心をとらえたハルウララだけに、引退式で見送ってやりたいものです。 日本最強馬としてこの1日(日本時間2日)パリのロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞で世界最強に挑戦したディープインパクト(牡4歳、残念ながら3着)とは、対極の競走馬。
無類の強さを発揮してきたディープインパクトが多くのファンの心をとらえるのはわかります。では地方競馬の最弱のハルウララが、なぜ競馬ファンでもない私を含む多くの国民に知られ、これほどまで共感を呼ぶのでしょうか。
03年ごろから人気を集め、映画化されるまでのフィーバーで、03年度の高知競馬の単年度収支を12年ぶりに黒字まで持っていくには、ハルウララの魅力、潜在能力を見つけ出した担当者の「確かな目」と「素晴らしいものを全国に発信する」という「強い意志」があったに違いありません。
和歌山に来て3年目。和歌山には高知競馬のハルウララ以上の宝物がいっぱいありますが、それを探し出す「確かな目」と、何よりも和歌山の良さを全国の人に知らせたいという「意志」があまり感じられないというのが正直な感想です。
空き店舗とシャッターが並ぶ地方都市の商店街、繁華街の再興、街おこしには、@よそ者(全国の成功例やその地域の良さを外部からの目で指摘する人)A若者(変えていこうというエネルギー)Bばか者(その話一丁乗ったろうか!とすぐ応援して、神輿を担いでくれる人という意味か)の3者が必要と言われます。今年1月の和歌山放送情報懇談会の和歌山の活性化を探るシンポジウムにパネリストで参加した私は「和歌山にはハルウララが寝ているような気がする。その良さをよそ者の目で発掘すると同時に、地域密着路線の和歌山放送は、元気を発信する人を応援するばか者にも徹したい」と“ばか者宣言”しました。
高知のハルウララを惜しみながら、“和歌山のハルウララ探し”を真剣に、と改めて自戒しています。