師走でしかも国会開会中、和歌山では知事選の最中というあわただしい中での開催中でしたが、「観光立国」をライフワークにされている二階俊博前経済産業大臣、国交省の谷口博昭技監が基調講演の講師として駆けつけてくれました。また小田章学長がコーディネーターとなったパネルディスカッションでは、県商工会議所連合会の島正博会長、和歌山市の大橋建一市長、全日本空輸の戸矢博道副社長ら各界を代表する8人が、和歌山県の観光振興や和歌山大学の観光学部設置に向けて真剣に議論、それぞれ貴重な提言をしてくれました。
和歌山県はこのところ談合や汚職事件で知事が逮捕されるという県民にとってはやりきれないニュースが続き、うっとおしい年末になっていたのですが、私自身が今日のシンポの前向きな討論、提言を聞いて勇気をいただきました。当初、知事にもパネリストの出演を予定しており、パンフ、ポスターを刷り直すなど関係者、スタッフは大変な苦労を重ね、開催にごぎつけましたが、開催してよかったと思えるシンポとなりました。
講師、パネリストの先生方はもちろん参加者、スタッフの皆さんに心から感謝申し上げます。

(「経済成長と観光」と題した基調講演する二階俊博・前経済産業大臣)

(「これからの観光と道路」と題した基調講演をする谷口博昭・国土交通省技監)

(豪華メンバーで熱心な議論が行われたパネルディスカッション)

◎観光立県和歌山シンポで各界から提言
「観光立県和歌山の扉を開く」と題したシンポジウムが9日、和歌山市内で開かれ、二階俊博(にかい・としひろ)前経済産業大臣ら各界を代表する人たちが、それぞれの立場から提言を行いました。
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これは、観光立県和歌山のさらなる飛躍や和歌山大学の観光学部設置の実現に向け、県や市などでつくる和歌山大学観光系学部設置促進協議会と和歌山大学、それに和歌山放送が主催して開いたものです。シンポジウムでは、前の経済産業大臣の二階衆議院議員と国土交通省の谷口博昭(たにぐち・ひろあき)技監が基調講演しました。
この中で、二階前大臣は、「観光は平和へのパスポートだ」と述べ、パレスチナなどの紛争地域では、観光資源があっても産業として成り立たない現状を紹介しました。また、現在、国会で審議されている観光立国推進基本法について、「12日か13日に参議院を通過する見通しだが、この法律をもとに奮起すれば、国際的に和歌山を延ばしていくことができる」と述べ、いま観光行政に取り組むことの重要性を指摘しました。
また、谷口技監は、沿道や周辺の風景を活かした日本風景街道の取り組みを紹介し、「和歌山県では、熊野古道に近い紀南地方でこの取り組みを行っているが、今後はさらに道を舞台にして住民と一緒にイベントをつくりたい」と述べ、道路と、その周辺住民との共生が観光振興にもつながることを強調しました。
この後、和歌山大学の小田章(おだ・あきら)学長がコーディネーターとなってパネルディスカッションが行われ、各界を代表する8人が、和歌山県の観光振興や和歌山大学の観光学部設置に向けて提言しました。この中で、文部科学省研究振興局の徳永保(とくなが・たもつ)局長は、「観光を、非日常の体験とすれば、紀伊半島は、人間が生まれ変わる場所として信じられてきた地域で、最も観光にふさわしい場所ということになる」と高く評価しました。
また、全日本空輸の戸矢博道(とや・ひろみち)副社長は、「和歌山県の観光振興を進めるためには、いまある和歌山の良さをもっと全国に発信し、首都圏や海外からの観光客をさらに増やす努力が必要だ」と指摘しました。
国土交通省近畿地方整備局の布村明彦(ぬのむら・あきひこ)局長は、「学生時代に和歌山県を何度も訪れたが、歴史や自然だけでなく、住民のやさしさが感じられる地域だった。そうした魅力を活かすためにも自分達が誇れる地域にすることが大切で、そうすることで、初めて人に紹介するようになる」と述べ、住民が、自ら楽しめる地域づくりの重要性を指摘しました。
この他にも、二階前大臣や、ジャーナリストの近藤三津枝(こんどう・みつえ)衆議院議員、県商工会議所連合会の島正博(しま・まさひろ)会長、和歌山市の大橋建一(おおはし・けんいち)市長、和歌山大学観光系学部設置促進協議会の会長を務める高嶋洋子(たかしま・ようこ)県企画部長ら各界を代表する人たちが、観光振興や和歌山大学の観光学部設置について意見や提言を述べました。シンポジウムの会場となった和歌山市の東急インには、およそ500人が訪れ、午後2時から3時間余りにわたって交わされた意見や提言を熱心にメモにとるなどして聞き入っていました。
2006-12-09 17:01

