(京都賞を授賞した取る坂東玉三郎さん=左着物姿)
第27回京都賞の授賞式(公益財団法人稲盛財団主催)が10日、京都市左京区の国立京都国際会館であり、思想・芸術部門で歌舞伎の女形の第一人者である坂東玉三郎さん(61)が選ばれるなど受賞者3人が祝福を受けました。授賞式、さらにはグランドプリンスホテル京都で開かれた晩餐会には、財団名誉総裁の高円宮妃久子殿下をはじめ、各国大使ら約1900人(晩餐会には約1000人)が参加して華やいだものとなりました。
(浴衣姿で童謡や「青い地球は誰のもの」など受賞賛歌を合唱する京都聖母学院小学校合唱団)
京都賞は、京セラ株式会社の創業の稲森和夫氏(財団理事長)の「人のため、世のため役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」という人生観に基づき、科学や思想、芸術などの分野で優れた功績をあげた人を顕彰しようと1985年に稲盛財団を設けて創設されました。
今回は、坂東さんのほか、先端技術部門には、材料の特性を予測する理論によって新素材開発に貢献した米国籍のジョン・ワーナー・カーン博士(83)、基礎科学部門は、宇宙の過去や法則を観測から導く理論を示したろ独マックス・プランク宇宙物理学研究所長で露、独両国籍のラシッド・アリエヴィッチ・スニヤエフ博士(68)が受賞しました。
毎回ノーベル賞クラスの受賞者が続き、その評価は高まっていますが、今回の授賞式は、歌舞伎の人気俳優、坂東さんが選ばれているだけに一層華やいだ式典、祝宴となりました。3人の受賞者に、井村裕夫・稲盛財団会長からメダルとディプロマ(賞状)と賞金(5千万円)が贈呈され、会場を埋め尽くした1900人から大きな拍手が送られていました。
また晩餐会では、稲盛理事長が、今年3月11日の東日本大震災に触れ「大地震と大津波は、改めて自然の猛威を見せつけました。さらに原発事故は、科学技術の進歩によって築きあげられてきた豊かな現代文明が、危うい脅威を含んでいることを知り、大きな衝撃を受けました」「経済の発展、地球環境の保全、そして安全な生活の確保をどのようなバランスを取って進めていくのか、難しい課題に直面しているが、こうした時こそ、科学技術の振興と高い精神性の構築を目指してきた京都賞の理念が、新しい文明を拓く道しるべになると考えています」とあいさつされたのが印象的でした。
(海外からの参加者をもてなす祇園芸妓の手打ちの儀や日本舞踊の披露もあった晩餐会)