
和歌山在住の作家の神坂次郎さんが、特攻隊をテーマにして22年間書き続けてきた「今日われ生きてあり」シリーズがこのほど完結、それを記念してお祝いする会が18日(土)夕、和歌山市内のホテルで開かれ、私も発起人の一人として参加しました。

(全員で合唱した思い出の唱歌「故郷」)

(神坂さんの講演では約40人の飛行兵の最後の一枚がスライドで流された)
パーティーの前に神坂さんの講演会があり、特攻隊として死を覚悟して飛び立つ飛行兵に慰問で訪れた女学生が歌ってくれたという唱歌「故郷(ふるさと)」を全員で合唱、神坂さんの講演では、この22年間の取材、執筆活動で集めた和歌山出身の特攻隊兵士の遺影約40枚がスライドで流されました。
いずれも17歳から23,4歳の若者で、「国のため」として、250キロの爆弾を積んで、片道の燃料だけを積んで連合軍の軍艦に体当たりするため飛び立ち、なくなった飛行兵ばかりです。死を覚悟して故郷の家族に送った最後の一枚の写真ですが、敗戦後「特攻隊なら処罰される」などのデマが飛び、焼却処分されたり、また遺族もなくなったりで貴重な写真ばかりです。
この日は、和歌山でも農作業の人が熱中症で亡くなるほどの猛暑。神坂さんは「こんな暑い日に多くの人に集まってもらう会を開くのは、迷惑だと女房に怒られたが、62年前の敗戦の日も顔が焼けるように暑い日だった。必死で集めた飛行兵の最後の貴重な写真を皆さんに見てもらうことでなくなった特攻隊員のせめてもの供養になった」と話されていました。また「敗戦を終戦、懺悔する人は責任ある立場の者がたくさんいるのに、“一億総懺悔(ざんげ)”というまやかしの言葉で、事実をあいまいにしてしまうのはどうも許せない。(平和の)歴史は、日中戦争から太平洋戦争まで15年でがらりとかわってしまうものだ。いまもいやな空気を感じる」とも述べておられます。いずれも重くずしりと腑に落ちる言葉です。
□和歌山放送ニュース再録
◎神坂次郎さんが「今日われ生きてあり」シリーズの完結記念会
和歌山市出身の作家・神坂次郎(こうさか・じろう)さんの著書「今日われ生きてあり」シリーズの完結を記念する会が、きょう(18日)和歌山市内のホテルで開かれました。
「今日われ生きてあり」シリーズは、神坂さんのライフワークともいわれ、鹿児島県知覧町(ちらんちょう)の神風特攻隊員が生前残した手紙や遺書、写真などを通し、特攻隊員の真の姿を描いた作品で、今年5月に最終編の「特攻隊員たちへの鎮魂歌(レクイエム)」文庫版が出版されました。
記念会は、きょう午後6時から、和歌山市のホテルグランヴィア和歌山で開かれ、およそ200人の市民が参加しました。第一部の講演会で神坂さんは、シリーズで取り上げた特攻隊員をスライド上映しながら「皆さんの前で紹介したことが、彼らに対する何よりの供養です」と話しました。また神坂さんは、22年間に及んだシリーズの執筆に関し、「終戦の際、『1億総懺悔(ざんげ)』と言われ、軍国主義者とともに、特攻隊員が非難のやり玉に挙げられたが、死んでいった隊員の無念を晴らしたいがために、作品を書き続けました」と語りました。
(2007-08-18 20:32)