2012年02月07日

情報懇談会に浜矩子さん

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 第90回和歌山放送情報懇談会が7日午後、和歌山市内のホテルアバローム紀の国で開かれ、国際経済学を専門とするエコノミストとして著名な同志社大学大学院ビジネス研究科教授の浜矩子さんが「これからどうなるグローバル経済と日本〜明日からの挑戦にどう応えるか〜」と題して講演を行いました。
 ギリシャに端を発する欧州の経済危機、急激な円高の最中での講演だけに、和歌山経済界のトップが多く参加され、熱心に聞き入っておられました。
 浜さんは、08年のリーマンショック時の金融恐慌と違って、いま世界が直面している危機は、ギリシャに代表されるように各国の財政が窮地に陥ったことが原因で恐慌状態が引き起こされる「財政恐慌」(浜さんの造語)状態にあると警告。その背景にある「地球は一つ、されど国家は多数」という現状では、「ヒト、モノ、カネは国境を自由に超えるが、国とその財政は国境を越えられないグローバリズムの矛盾、危険性を指摘しました。
 またTPP参加をめぐる論議については、「例外なき貿易自由化」を迫るかのような議論は全くのピンぼけだ。TPPは「囲い込み型通商」と呼べるもので、戦後WTO(世界貿易機構)で進めてきた3原則(@自由A無差別B互恵)に反しており、「地域限定排他貿易協定」というのがその本質だ、とズバリ。「目からウロコ」のユニークな指摘が相次ぎました。
 円高など企業家に関心の高い「通貨の激変問題」のテーマでは、会場からの質問にも答え、「ユーロの消滅は、一挙に崩壊するか、その一部の国が徐々に撤退するかにかかわらずメルトダウンのカウントダウンははじまっている。1ドル50円の時代は今後、5年以内にも来るかもしれない」との大胆な発言も飛び出し注目を集めました。
 また歴史上「まさか」は必ず起こっているが、その「おぞましいまさか」を回避する方法は、一国の利益を最優世して保護主義に陥るのではなく、イギリスの経済学者アダム・スミスの「国富論」を越え、相手の国の利益も同時に考える「君富論(きみふろん)」が必要だと訴えました。「情けは人の為ならず」。国際経済学者の浜さんからの意外なこの言葉に、なぜかホッとしました。
 


□和歌山放送ニュース再録

◎浜矩子氏講師に第90回和歌山放送情報懇談会(写真付き)
(2012年2月7日(火) 18:32)

 第90回和歌山放送情報懇談会が、きょう(7日)、和歌山市内のホテルで開かれ、同志社大学大学院ビジネス研究科教授でエコノミストの浜矩子(はま・のりこ)さんが講演を行いました。

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同志社大学大学院ビジネス研究科教授・エコノミストの浜矩子(はま・のりこ)氏

 第90回和歌山放送情報懇談会は、きょう(7日)午後、およそ100人が参加して、和歌山市のホテルアバローム紀の国で開かれました。この中で、「これからどうなるグローバル経済と日本〜明日からの挑戦にどう応えるか〜」と題して、浜さんが講演を行いました。
 講演で浜さんは、世界各国の財政が追い込まれる「財政恐慌」、「囲い込み型の通商政策」、それに「通貨の激変問題」をテーマにかかげ、今後、5年以内に1ドル50円の時代が来る、ヨーロッパの単一通貨「ユーロ」が消滅するなどと指摘しました。
 さらに、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)問題について、「例外なき貿易自由化を迫る協定だという議論があるが的外れだ。TPPは、特定の地域を囲い込み、その中だけで貿易力強化を図るもので、いわば「貿易不自由化」だ」と述べた上で、イギリスの経済学者アダム・スミスの「国富論」を越えた、「君富論(きみふろん)」が必要だと訴えました。
 君富論は、自分さえよければという考えを捨て、他人のために行動することを意味し、浜さんは、君富論の実践が、日本経済の夜明けにつながると述べました。
posted by wbs at 23:10| Comment(0) | 和歌山放送のこと
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