
(「日本の経済社会の再生と国家のあり方」と題し講演する京セラ名誉会長の稲盛和夫さん)
毎日新聞創刊140年を記念し、異業種交流組織「毎日21世紀フォーラム」の特別講演会と感謝の集いが20日、大阪市北区のリーガロイヤルホテルで開かれました。「日本の経済社会の再生と国家のあり方」と題した京セラ名誉会長の稲盛和夫さんの講演は、自信を失い針路を見失いかけている日本の政治、経済、社会に対して「日本人が本来持っている不撓不屈の心、燃える闘魂と、仕事に対しての崇高な精神をもう一度取り戻せば再生は可能だ」と心強いメッセージを発信、関西の政財界人ら約450人の参加者に深い感動を与えました。
感謝の集いでは、朝比奈豊・毎日新聞社社長が「読者の方々、毎日新聞を支えてくださる全ての方々のお陰だ」とお礼を述べていました。
(感謝の集いであいさつする朝比奈豊・毎日新聞社社長)
稲盛さんは、京セラ、KDDIを設立、さらには一昨年2月から経営破綻した日本航空を短期間で再建した体験を交えながら、「日本は明治維新から日露戦争、敗戦、バブルの崩壊、と約40年ごとに大きな転換点を迎えている」と指摘。「現在はバブル崩壊後の方向転換、意識改革が出来ずに財政破綻の状況にある。人口減少、高齢化の中で、バブル崩壊から次の40年の2025年の日本を奈落の底に落とさないためには、戦後日本人が見せた困難に立ち向かう勇気、不撓不屈の精神、燃える闘魂を取り戻そう」と呼びかけました。
さらに「日本人は宗教心が薄いと言われるが、すべてのものに神仏が宿ると宗教心の厚い民族です。これは匠の世界、ものづくりの高度な技術にも敬虔な心が生きています。同時に東日本大震災の中でも、食べ物を分け合う心、世界が称賛した思いやりに満ちた美しい心が生きています。この徳をベースにした価値観こそが日本の国づくりのソフトパワーにすべきす」と訴えました。