

和歌山市在住で、和歌山大学講師の画家・志磨隆(しま・たかし)さんの第10回目の個展と画集出版を祝った記念パーティーが2日、和歌山市の和歌山東急イン・であり、私も参加しました。
志磨さんとは、家の近くの小料理屋さんで偶然知り合ったのですが、多摩美術大学を卒業後、トヨタなど車の内装デザイナーとして勤務後、10年前からは和歌山市内にアトリエを開き、和歌山大学やカルチャー教室で絵のデッサンを教えており、64歳とはとても思えないほど若く飄々とした自由人です。
話を聞くうちうらやましく思ったのは、世界の海を航海する日本の豪華客船「ぱしふぃっく びいなす」に洋上絵画教室の講師としてただで乗って世界を旅していることです。
それも聞いてみると、客として乗るため船主の「日本クルーズ客船」などに電話しているうち、航海中客に教えるさまざまなカルチャーの中で、絵の先生が欠員になっており、それでは「講師に」と夢の豪華客船ただ乗り(!?)が実現したというから、人生は不思議です。
私は、船旅には強い思い入れがあります。20歳のとき、生きる目標や価値が見出せずにインドまでフランスの貨客船に乗って旅したことがあります。
私の乗るエコノミーは6人相部屋、料金が最低2倍以上する一等客室とは明確な立ち入り禁止区域がありました。豪華のプールとレストラン、それに毎日のようにあるパーティーや講座。われわれのエコノミーは、飛び込んだ人が頭を打つつけたというほど狭い鉄板のみのプール、しかも香港、タイ、シンガポール…と停泊するごとに貨物を陸揚げするためデッキが使用禁止になるなど、毎日のひどい料理とともにボンベイまで約20日間の船旅は決して快適なものではありません。それでも、日本まで旅にきて母国に帰る途中のドイツ人ヒッピーなど「旅の先達立ちたち」、リタイヤした米国人教師など“船旅の学校”は、大学以上にたくさんのことを体験させてくれました。
そして新聞記者としてどんな忙しい時も、「いつかひまになったら豪華な船旅を」と夢見てきました。また、「できたら青春時代放浪したコース(インドまで船旅、中近東をバスと列車で乗り継ぎ欧州へ)をもう一度」といつも想い続け、豪華客船での旅が最大のあこがれ、夢なのですが、志摩さんは、そんな旅を仕事と遊びを一緒にしていともたやすく実現、実行されているからうらやましいかぎりです。
パーティーには、志摩さんらしい楽しい人たちが、あいさつや歌(ご本人もピアノとジャズの歌)でたのしいひと時を過ごしました。


□和歌山放送ニュース再録
◎和歌山市在住の画家・志磨隆さんの個展始まる
和歌山市在住で、和歌山大学講師の画家・志磨隆(しま・たかし)さんの個展が、きょう(1日)から和歌山市内のホテルのロビーで開かれています。
志磨さんは、1943年上海市生まれの64歳で、多摩美術大学を卒業し、関東自動車工業で車の内装デザイナーとして勤務後、10年前の1997年、和歌山市内にアトリエを開き、和歌山大学やカルチャー教室でデッサンを教えています。
また、3年前からサイパンやカムチャッカ、オセアニア、世界一周の4回にわたって豪華客船に乗り込み、乗客向けの絵画教室も開いています。
今回の個展では、志磨さんが絵画教室の空き時間などに描いた水彩画およそ30点と、そのモチーフになった写真数十枚が展示されています。
作品は、海と船を中心に据え、ベネチアやアテネ、リスボンなどの街の風景が織り交ぜられたものになっています。
また今回の個展が10回目になることを記念して、これらの絵と写真、さらに志磨さん自身が書いた日記風の説明が添えられた画集「The Ocean and Ships」が出版され、会場でも1冊8800円で販売されています。
志磨隆さんの個展は、和歌山市の和歌山東急イン・1階ロビーで、きょう(1日)から9日までの毎日、午前10時から午後5時まで開かれています。
入場は無料となっています。
(1日16:54 報道部)